こんにちは、筑波大学硬式庭球部2年の中村元と申します。
私は森と昆虫を愛する者です。
特に夏の夜の森は素晴らしいものです。昼間でも少しぞくっとするような雰囲気を持っている森は夜は全くその姿を変えます。昼間では全く気にする事がなかった何かの音が夜は魑魅魍魎が発する音・声を感じとり肌が立つ感覚は森でしか感じられません。ライトによって作られる影にさえ、怯えて前に進むことをためらいます。
しかし闇に対する恐怖よりも好奇心が勝り、私は毎夜森に出かけて行きます。

「暗闇からなぜ豚の鳴き声が聞こえるのか」と不思議に思いながら近づき、それが猪の鳴き声だとわかった時の背中につららを刺されたようなゾッとした感覚、またカブトムシの羽だと思って喜んでいたらそれがスズメバチであわてふためいて逃げ回った事、毒キノコのなんとも言えない妖艶な輝き。この笑い話のようななんとも危ない経験は決してゲームやレジャー施設では味わえない本当に自分が生きてるという感覚を与えてくれるのです。
試合で勝つか負けるかというギリギリの感覚は経験した者にしかわからない。ある種、麻薬のようなものだという人もいます。それは私も賛成です。しかし、私はこの夜の森の経験こそ、自分が生きている事を感じる何者にも変えがたい貴重なものだと思うのです。

少し余談ですが、最近私は「生き物が好き」とは何かについてふと考える事があります。私の周りには生き物を捕まえて飼育したり、標本にしたりと様々な人がいます。その人たちは生き物に興味がありますが、果たして好きなのでしょうか。脳がないため昆虫などは感情がないとされていますが、それでも1匹の短い生き物の生涯を邪魔してはいけないのではないかと思うようになりました。高校、大学で命の尊さを考えるようになりました。私の中では「生き物が好き」は決して生き物の生涯を邪魔する事なく見守ることだと思います。もちろんこれに答えなどないと思いますが。みなさんはどうお考えですか。